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 秋、お茶の木には花が咲きます。その花に寄ってくる蜜蜂や色々な虫たちによて自然交配されお茶の実(種)になります。その自然交配によって出来た種は、親木の性質を受け継ぐ事はほとんどなく、様々に性質の違う種となっていきます。その種から育った(実生)日本古来の茶樹を「在来種」と呼んでいます。
種子から育つ(実生)在来種の茶樹は、太い直根を地中深くまで伸ばすため生命力が非常に強く、樹齢が長い茶の木に育ちます。
挿し木苗から成長した茶樹は、地表近くで根を張りめぐらすため肥料の効果が早い特性もありますが、その一方で根が浅いことから干ばつに比較的弱い事や、同一品種の茶樹で畑が形成されているため、病害虫の被害が広範囲に広がるリスクもあります。
樹勢が落ちてくる樹齢三十年から四十年を経過した茶樹は植え替えが必要ともされています。
現在、国内では大変希少な茶となった実生在来茶、その歴史は古く…
日本での茶栽培の起源は、西暦805年の平安時代、遣唐使として海を渡った「伝教大師 最澄」が唐より持ち帰った茶の種子を、滋賀県 比叡山麓の日吉大社あたりに蒔いたのが始まりとされています。
また他の説もあり、平安時代の文献に茶のことが記録される以前から、日本の山間部の奥地には野生茶「ヤマ茶」(日本在来種)が自生していたとされ、その「ヤマ茶」は約2000年前にインドから日本に伝わり自生したものと考えられています。
日本各地に茶が広まったのは鎌倉時代以降で、臨済宗開祖 栄西禅師が「宋」に渡り、茶が医薬として効能があることを目の当たりに見聞体験し、西暦1191年日本に持ち帰った茶の種子を佐賀県 背振山(せぶりさん)に蒔きました。
その後、京都の僧「明恵上人(みょうえしょうにん)」が栄西禅師より種子を譲り受け、京都の栂尾(とがのお)や宇治にその種子を蒔いたとされています。
また、栄西は茶の素晴らしさを日本に広げるため、茶の薬効を説いた書「喫茶養生記」を著し、国内において茶の栽培を奨励し、茶の製法や喫茶法を普及させました。
栄西は、日本における「茶の祖」として現在でも語り継がれています。
遥か昔、海を渡った僧達によって中国から日本に伝え広がった実生在来茶と、山に自生していたヤマ茶(日本在来種)とが長い時間をかけて自然交雑し、我が国の実生在来茶園特有の多種多様な品種が混合した茶畑が形成されたと考えられています。
様々な文献に出てくるように、日本に茶が伝来して以来千数百年… 茶は種を蒔くことで伝え広がり、日本人が長い間味わってきたお茶は在来種のお茶でした。
                   
                   
                   
                   
現在、国内のほとんどの茶園が生産性の高い“均質”な改良種の茶葉が流通を占め、昔から親しまれてきた在来種の個性のあるお茶の味わいは失われつつあります。
                   

一般に見られる現代の茶園は、品種改良された挿し木苗から育成した均質な茶樹で畑が形成されているため、畑の茶葉の色が均一です。(右下の写真・やぶきた)
                   
一方、在来種の茶園は様々な品種が混在するため、畑の茶葉の色には緑の“濃淡”があるのが特徴です。
                   
                   
                   
何千年もの永い時の中で自然交配を繰り返し 生み出された、様々に異なる性質を持つ種から育った(実生)“在来種”の茶樹。
                   
                   
無数の貴重な“固有種”の茶樹が混生する実生在来茶園。千差万別の個性ある木々が混ざり合う畑から出来たお茶はまさに“天然ブレンド茶”。
                   
                   
                                       
育つ環境、風土の違いでその土地に適応した様々な固有種が育ち、お茶が本来持つ素朴で深みのある、その土地特有の個性豊かな味わいを生み出します。
                                     
               
                   
                   
お茶を口に含んだ時に広がる深い余韻の残る奥深い味わい…
その味わいは、自然溢れる昔懐かしい日本の原風景を想いおこすような、ひと時の安らぎを与えてくれます…
当茶園の茶の木の多くは、樹齢が八十年から百数十年経過した国内でわずかに現存する貴重な在来種の古木です。
昔ながらの味を今に伝える楠森堂のお茶…お茶の歴史に想いを馳せて味わってみませんか。
 実生(みしょう)     種から発芽して成長
 昔、お茶の木は種子を蒔いて増やしていました。種子から育てた茶は、親木の性質をそのまま受け継ぐことはほとんどありません。茶の樹には花が9月から11月にかけて咲き、蜜蜂などいろいろな虫たちによって花粉受粉されますが、茶には自家不和合性という他個体、他系統の品種とでなければ※有性生殖が成立しない性質があるため、葉の色、形、品質の良い樹や悪い樹、収量の多い樹や少ない樹、芽の出る時期が早い樹や遅い樹等、さまざまな個性、さまざまな遺伝子を持った茶樹(固有種)が同じ茶園に混在しています。
(※有性生殖とは … 植物には、動物の精子と卵子のように精細胞と卵細胞があります。異なる品種の花粉が受粉されることで その両細胞の核が合体し、父親と母親の両方の遺伝子を受け継いだ新しい個体がつくりだされます。)
            
種子から育てた在来種のお茶は生育にばらつきがあり、出来上がった製品の見た目も粗く、品質の安定という面で課題が多かったのです。
昭和30年頃、優良品種の茶苗を短期間に大量かつ安定して育成する方法として、“栄養繁殖法”と呼ばれる「挿し木」によって苗を増殖させるクローン技術が確立されました。
挿し木苗によって栽培された品種茶園は、新芽が均一に揃って生長します。在来種に比べて収穫量が多く、また機械による摘み採り、製茶加工がしやすいことで生産性が飛躍的に向上しました。
昭和40〜50年代にかけて急速にお茶の品種化が進み、現在では全国の茶園の品種化率は97%に達し、日本古来の実生在来茶園は国内にわずか3%程しか現存しない希少な茶園となっています。(2000年(H.12年時点))

剪定で切り落とした枝を利用します。一枝に1〜2枚の葉を残し挿し木し、2年間育成し苗を作ります。

優良品種苗を開発する方法として、日本古来の実生在来茶園の中から優れた品質の枝を選抜し挿し木法で増殖させる方法。
すでに開発された様々な特性を持った品種同士を交配させ、新たな品種を生み出す方法とがあります。
挿し木から育てた苗は品質も安定しており、滋味、多収性、早晩性(摘採時期の違い)、耐寒性、耐病虫性など特性の違う多数の優良品種が開発されています。

 現在、国内の栽培面積の約4分の3を「やぶきた」と呼ばれる品種が占めています。「やぶきた」をはじめとする茶の品種化は、わが国の緑茶の品質と生産性向上に多大な貢献をした反面、病害虫の多発、収穫期の集中、また風味の画一化や産地ごとの特徴が希薄になるなどマイナス面も指摘され始めました。その反省から最近では特色のある品種を地域ごとに生産する動きも出てきています。
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